先週末、大学駅伝を見ていて気がついたことがあります。それは選手の皆さんが履いているシューズがどうも似ているということです。オレンジやピンクの色は映えるので履く選手が多いと思ってよく見ていましたが、ブランドも同じ。何だろうと気になって調べたところ、どうやら陸上界もテクノロジーの進化で画期的な靴が出たということが分かりました。
ナイキの「ズームヴェイパーフライ4%」という靴で、陸上界の常識である薄底シューズの真逆の発想で出来た「厚底シューズ」。かかと部分が厚いので常に前に押し出される感覚で走れるんだとか。昨年末のマラソンでは上位入賞者が全てこの靴で、年初の箱根駅伝や実業団駅伝でもこの靴を履いた選手が上位を席巻し、これまでの首位のアシックスとシェアが逆転したんだとか(ちなみに、アシックスとナイキだけでトップ選手に過半数のシェアを持っています)。
どんな技術革新があったのかは詳しく分かりませんが、ネット情報によると炭素繊維のカーボンプレートが内蔵されているようです。デメリットは耐久性で通常のランニングシューズが700キロと言われる中で160キロしか走れないようです。また価格も26000円くらいするので簡単には手が出せません。しかし、マラソンが趣味でレースに出るような人(タイムを重視する人)にとっては喉から手が出るほど欲しい靴なんでしょう。ネットでもショップでも完売状態が続いているそうです。
ターゲットをランナーに絞り込むことでデメリット以上のメリットを出すというところは、まさに「嫌われる勇気」を以って作り上げたヒット商品と言えます。この勇気はニッチ市場ゆえにリスクもあります。ただマーケティングの観点で考えた場合、こうした「好きな人は大好き、そうでない人は嫌い」的な商品開発がこれからは必要なのだと思いました。